新進気鋭の歌舞伎俳優として活躍中の二代目・尾上松也(おのえまつや)さんは、六代目・尾上松助(おのえまつすけ)を父に持つ、歌舞伎界のサラブレッドです。
そんな父は尾上松也さんが若干20歳だった2005年12月26日に、原発不明癌で59歳の若さで亡くなりました。
お父様は元々歌舞伎の出ではなく一代でのし上がった叩き上げの人でして、そんな父への感謝の気持ちを2016年6月10日放送の「アナザースカイ」にて語ってくれました。
父・尾上松助から学びきれずに決別した
父・尾上松也氏は、尾上松也が20歳の時に亡くなったので、もっと父から色々と教わりたかったのに教わりきれずに決別となりました。
その事に対して尾上松也は、多少なりとも悔しさとコンプレックスを抱えていたのです。
ただ、前述の様にお父様は元々歌舞伎の出でもなければ家柄でもないので、お父様自身も育ての親がいないコンプレックスを抱えていたのです。
酔っ払うとつい愚痴る事もあり、悔しい思いをしていたというのは子供ながらに感じていたのです。
父に弟子入りしてくれた3人が弟子になってくれた
父が亡くなった時には、父に弟子入りしていた人が3人いたのです。
そのお弟子さん達に尾上松也は
こんな若造だし、教えてあげる事は何も無いので、他の方のお弟子さんになっていただいても僕は全然構わない
と言ったところ「絶対に付いていく」と言ってくれたのです。
「大丈夫、まだ若いし」
とも言ってくれた事から、お弟子さん達の方が年上だと思われます。
父が見せた表現者としての姿勢
父・尾上松助は亡くなる1ヶ月前に、痩せ細った状態ながら舞台復帰しました。
病魔に侵されていたとはいえ、芝居をする一時だけは生気が戻ったのです。
その最後に舞台に立った1ヶ月がなければ、もうちょっと元気で長生きしたかもしれないかもしれないと言いつつも、そんな父に表現者としての姿勢を人生をもって教えてもらったと語ります。
歌舞伎の語源は「傾く(かぶく)」ですが、命をかけて真剣に取り組むからこそ人の心を揺さぶることができるのです。
父への感謝
尾上松也は父への感謝の言葉をいくつも語りました。
自分は歌舞伎役者の子供として生まれて、父よりも恵まれている。
父が歌舞伎をやってなかったら僕もやっていない。
歌舞伎をやっててくれてありがとう。
亡くなった当時よりも今の方が、いない事の大きさを感じる所が多い。
父の背中を見て育ったなんていいたくなかったですけど、今思えば結局そうなのかなと。
この様に、感謝してもしきれないくらいの存在だったのです。
父からは教わりきれずに別れたと思っていたのですが、色々な事を教えていただいていたのでした。