「我が子は安定の国家公務員にさせたい。」
「どうせなら公務員の頂点である官僚になってもらいたい。」
この不況下ゆえ、そう思う思う親御さんは多いと思います。
そんな親御さんや、又は官僚を目指す若人に向けてこの記事は書かれました。
元官僚で現在はフリーランスとしてご活躍の宇佐美典也さんが、官僚になるにはどういう手順が必要かといった事や出身大学、そして年収、給料、天下りの実態といった裏事情を赤裸々に語ってくれました。
官僚とは一体何をするものなのかという基本的な疑問にもわかりやすく答えています。
そして経済産業省は省庁自体を女子大生と出会える合コンの場所としているという実態がありまして、伴侶と出会うマッチングの場としても活用し、まさに頭の良さをフルに生かしていたのでした。
【出身大学・東大】宇佐美典也が語る官僚になる方法
2017年4月7日放送の「じっくり聞いタロウ ~スター近況(秘)報告~スペシャル」に、一見普通の若いお兄さんが出演しました。
この方は東京大学出身で、元経済産業省に努めていた宇佐美典也(うさみのりや)氏です。
その優れた頭脳を活用し現在はフリーランスとしてご活躍中で、お名前で検索すれば簡単にアクセスする事ができます。
宇佐美さんの同期は約40人くらいいて、その内の約8割の出身大学は、東京大学か京都大学です。
この時点で、官僚になるにはあまりにも高いハードルがあるという事が伺えるというものです。
官僚になるには、大学を出た後に国家公務員試験を受ける必要があります。
1981年生まれの宇佐美さんの時代は、その国家公務員試験には
- I種
- II種
- III種
の3種類があり、I種に合格しないと官僚にはなれませんでした。
しかしその国家公務員試験I種の試験の競争倍率は、宇佐美さんの当時は約25倍という、とてつもなく激戦区でした。
どおりで東大や京大出身の人たちが官僚の多くを占めているわけです。
そして試験に合格しただけでは官僚にはなれません。
合格後に各省庁の面接を受ける必要があり、その面接で3分の1から半分くらいの人が落とされます。
つまりたとえ試験を合格しても、官僚になれるのは半分から3分の2くらいという事になります。
この面接で落ちてしまった人は普通に就職活動をし、一般企業に就職する事が多いとの事です。
官僚とはどのようなポジション?
官僚とはどういう仕事をするのかという事は、多くの人が知らないと思いますが、宇佐美さんはわかりやすく説明してくれました。
一言で言うと政治家の頭脳的なポジションです。
政治家という職業は非常に忙しく、政治家本人のみで全ての業務をこなす事は不可能です。
なので、政治家の頭脳になったり実務部隊になったりする人が必要になり、その役目を担うのが官僚です。
こう書くと、特定の政治家に仕える秘書的な役割だと思ってしまいがちですが、そうではありません。
官僚とは各省庁に常駐し、大臣が変わろうが政権が変わろうがずっとその省庁にいます。
世間一般的な地位としては、官僚は公務員の中でも偉い人、もしくは偉くなる予定の人の事です。
どんな仕事をするのか?
政治家の側近というポジションなのは分かりましたが、具体的な仕事内容はどのようなものなのでしょうか。
その大事な仕事の一つを説明してくれました。
よく大臣が国会答弁を行っていますが、あの内容は政治家本人が考えているわけではありません。
宇佐美さんいわく「それは絶対無理」との事です。
あの答弁内容は、官僚が書いた内容を喋っているのです。
「だったら官僚の人が政治家になった方が効率が良い」
と思ってしまいますが、それは違うと宇佐美さんは語ります。
官僚はあくまでサポートするのが仕事なので、いざ人前に立つとキョドったりしてしまいます。
官僚と政治家の関係は、テレビで言うならディレクターと出演者の関係に似ています。
ディレクターは台本通りにキチンとするように指示するのが役目で、出演者はその通りに遂行するのが役割です。
たまにディレクターにカメラが向けられると「あわわわ」となり、ガチガチになっているケースがバラエティー番組等で多く見られると思います。
その状態に似ていて、それぞれ適正があるという事です。
国会答弁台本作成は徹夜の激務
「向き不向きがあるのは分かったけど、国会答弁の台本はどのような工程で作成されるのだろう?」
その疑問にも宇佐美さんは明確な回答をしてくれました。
国会答弁では野党からの質問に答える事になるのですが、だいたい2日前までに「(与党に対して)こういう質問をします」という内容が野党から持ち込まれる事になっています。
ただし現状としては、大抵前日になってようやく到着するそうです。
予定スケジュールよりも遅れるのは、どこでも同じということなのでしょう。
そして野党からの質問数は何百にもなるので、与党側は答えたくないのです
なので質問が来たら、まずは押し付け合いが始まります。
どこで押し付けあうかというと、それは省庁同士です。
「この質問は防衛省が答えろ」
「断る」
「外務省が答えろ」
「嫌だ」
という押し付け合いが、約3時間も行われます。
そしてその押し付け合いによって、答弁義務を他の省庁に弾くのが若手官僚の役目です。
一度答弁を引き受けて前例を作ってしまうと、次に似たような質問が来た時に「以前、お前の省庁が答えたから今度も答えて」となってしまうので、それを回避させたいのです。
このように押し付けあった結果、ようやく質問が確定するのが前日の22時くらいです。
確定したら、次の日の朝までに答弁を仕上げなければなりません。
大変なのは、答弁内容が自分の省庁内で収まらない場合です。
宇佐美さんは元経済産業省なので、経済産業大臣への答弁なら、基本的に自分の省内で収まります。
しかし総理大臣が語る答弁を書く場合は、まずは経済産業省内でOKをもらい、その後総理直属の秘書官の所に持っていって確認をもらう必要があります。
そこでNGが出た場合は再度書き直す必要があり、そのループが朝まで続く事もあるとの事です。
このように国会答弁の台本作成は、徹夜必至の激務です。
気になる給料・賞与を暴露。年収は意外と低い
このように徹夜があるにもかかわらず、意外に年収は多くありません。
給料を聞かれた宇佐美さんは「年齢 x 1.1倍」くらいが月収の相場と答えました。
23歳で入った宇佐美さんは、基本給25~26万円くらいが初任給でした。
月給が安い代わりにボーナスが多く支払われるかといえばそうではなく、40~50万円を年に2回で約80~100万円だったのです。
テレビ画面には宇佐美さんの、おそらくまだ新人の頃だと思われる源泉徴収票が映ったのですが、支払金額は410万3460円でした。
この支払金額イコール年収なのは言うまでもありません。
この年収410万円からボーナス100万円を引くと310万円。
それを12で割ると25万8000円となり、これが月収という計算になります。
徹夜までする激務な割りには、少なくとも若いうちはそれほど年収は高くありません。
官僚の天下りには以外な理由があった
「若い頃は苦労しても、将来天下りで甘い蜜を吸えるからいいじゃん」
世間一般では、間違いなくこのように思われています。
天下りとは自分がいる(いた)省庁の働きかけで、民間企業等に役職を作ってもらい再就職をする事です。
国家公務員法でも厳しく規制され、必要以上に行うと違法とされていますが、実はしょうがない事情があった事が宇佐美さんによって暴露されました。
元経済産業省の宇佐美さんは
「経産省は天下り先が豊富で、天下りはめっちゃ多い」
と語りました。
経産省は様々な業界と一緒に活動して、その業界の安全規格とかを作るのが仕事のひとつです。
そしてその規格等を審査・審査する団体が沢山ありますが、そのような「民間と省庁の間みたいな団体」に天下りするそうです。
そして、官僚はみんな天下りしたいものだと世間が思っている事に対し、異論を唱えました。
本当は天下りをしたくなくて、省庁に残ってもっと働きたいのです。
では省庁に残れない理由は何かというと、単純に下(部下)から詰まってくるからです。
みんながみんな事務次官まで登りつめる事はできません。
- 事務次官
- …
- 課長
- 課長補佐
- …
ジャニーズのアイドルグループ・嵐の櫻井翔の父親が、2015~2016年に総務事務次官を務められました。
「お前が辞めないと下の者が昇進できないから辞めてくれ」という交渉が行われてしまいます。
そのような事を言われるのは、昇進が頭打ちになる50歳くらいからだそうです。
人事の季節が来て、人事課に呼ばれた課長が帰ってきたら呆然としていた。
話しかけても呆然としていて「ああ、これは天下りを打診されたな」と分かった。
と、年齢が上がり出世レースから外れ、居場所が無い官僚は本人の意思に反して天下りを打診されるという実態を告白してくれました。
天下りを隠す小細工
このような理由がある天下りですが、違法であると批判の対象となるので、巧妙なカムフラージュが行われていると宇佐美さんは暴露してくれました。
天下りを打診された官僚が省庁を辞めたら、約3ヶ月間くらい無職の期間を置き、その間は何もしません。
そして3ヶ月後に天下り先に就職します。
この方法を使えばあたかも自分で就職先を見つけたかのように言い訳ができますので。
以前は省庁を辞めると斡旋された企業にすぐに再就職していたのですが、それではバレバレです。
官僚と女子大生と結婚できる可能性が高い
経済産業省の官僚はチャラく、合コンでもモテるという話がありますが、それにも理由があります。
元経済産業省の宇佐美さんは
合コンに行くとかいう発想をするから他の省庁は駄目なんですよ。
省庁自体を合コン状態にするという発想で経産省は動いていて、女子大とかに事務職の募集を載せるんですよ。
それを一番最初に始めたのが経産省なので、経産省内には女子大生が溢れているんですよ。バイトに応募する人も、官僚との結婚目当てで入って来るような人もいる。
合コンに行くとかを考えているから他省庁は駄目。
もっと頭を使え。
もっと権威を使えと。
と語り、笑いを誘いました。
官僚の中で一番チャラいと言われる経産省ですが、そう言われるれっきとした理由があったのでした。
シン・ゴジラにも通じる人間味
2016年に上映された映画「シン・ゴジラ」では、政治家達の葛藤や内部事情が映画というフィクションではありますが描かれ、より身近に感じたものでした。
そして今回赤裸々に内部事情を語ってくれた宇佐美さんによって、官僚という存在がより身近になった気がします。
特に天下りに関しては、せざるを得ない切実な理由があったのが意外な発見でした。